英語圏の患者さんが日本の医師から診察を受ける際に驚くことの一つに「日本の医師は黙って身体診察をする」ということがあります。日本では医師があまり話しかけることなく聴診や打診などを行うことが一般的ですが、英語圏では医師が「何をするのか」「なぜ必要なのか」「どのようなことをして欲しいのか」そして「どのようなことが予想されるのか」ということを逐一説明することが一般的です。そこで今月は身体診察をする際に必要とされる英語表現をご紹介します。
身体診察をする際には、その種類にかかわらず下記の7つの内容を伝えるように心がけましょう。
病歴を聞き終えたら次は身体診察です。ここで黙って身体診察に移るのではなく、ごく簡単に身体診察に移るという旨を伝えましょう。”Mr Smith, now I’ve finished taking your medical history.We will now begin with the physical exam.”
身体診察の前に手を洗うことを伝えることはエチケットとしても重要です。
”Before we start, I will wash my hands.”
ここで具体的にどのようなことをするかを伝えます。身体診察には「視診: inspection」「聴診: auscultation」「打診: percussion」「触診:palpation」がありますが、具体的にどのような動作をするのかを伝える必要があります。ここで気をつけなければいけないのが動詞の使い方です。よくある間違いとして「触る」を to touch、「(打腱器などで)たたく」を to hit のように表現することがあります。身体診察で用いられる動詞は下記の10個程度ですので、ここでまとめて覚えておくといいでしょう。
【身体診察で用いられる動詞】
”Mr Smith, I am going to look inside your eyes using this device.”
次になぜこの診察が必要なのかを説明しましょう。難しい表現は不要です。ごく簡単な表現を使いましょう。
”Mr Smith, I am going to look inside your eyes using this device to see if everything is fine.”
ここでは患者さんにどのような動作をして欲しいかを伝えます。難しい動作の場合、実際にやってみせながら ”Please do like this.” と言ってもいいでしょう。”I want you to choose a point on the wall and keep looking at it even if I cross in front of you.”
次に身体診察の最中にどのようなことが起こるかごく簡単に、でも正直に伝えましょう。
最後に痛みや不快感などがあれば教えてくださいと伝えましょう。
”Please let me know if you have any pain or discomfort. OK? ”
これら7つの内容を皆さんがよく使われる身体診察に応用して練習してみてください。