病歴聴取において、生理や妊娠など産婦人科系の話題は、その尋ね方や表現などに関して高度な英語力が求められる分野です。そこで今回は「不正出血」を意味するabnormal vaginal/uterine bleedingの随伴症状に関する専門用語に関して、「患者さんでもわかる簡単な表現」と「患者さんへの質問表現」の2つに分けてご紹介します。
では下記の症状に関して、それぞれ「患者さんでもわかる簡単な表現」と「患者さんへの質問表現」を考えてみてください。
まず不正出血のような個人的な内容について尋ねる際には必ず、“I will now be asking you about your menstruation. These are some routine questions I ask all my patients. Any information you provide will be completely confidential. Would that be all right with you?” のような「前振り」を行いましょう。polymenorrhea の menorrhea は「生理/月経」という意味で、poly-「多い」という接頭辞との組み合わせで「頻発月経(月経周期が21日未満)」という意味になります。この menorrhea はこの他にも oligo-「少ない」との組み合わせで oligomenorrhea「希発月経」となったり、dys「- 困難」との組み合わせで dysmenorrhea「月経困難症」といった様々な医学用語に使われています。また「月経」のような正常な場合でも見られる生理現象の異常の有無を尋ねる場合には、例文のように “Have you noticed any change in( 生理現象)?” のような質問表現が役に立ちます。
dys- という接頭辞は「困難」という意味ですが、そこから転じて「痛み」という意味で dysmenorrhea「月経困難症」や dysuria「排尿困難」のように使われます。これらの有無を尋ねる場合、先ほどの “Have you noticed any change in( 生理現象)?” という質問表現の他、 “Is/Areyour( 生理現象)more( 形容詞) than usual?” という質問表現も役に立ちます。
-rrhagia「流れる」を含む医学英語には様々なものがあります。代表的なものとして menorrhagia「過多月経」 や metrorrhagia「過長月経」、そしてこれらが合わさった menometrorrhagia「過多・過長月経」などがあります。質問表現としては最初に紹介した “Have younoticed any change in( 生理現象)?” が役に立ちます。
pareunia「性交」に「困難・痛み」を表す dys- が合わさることで「性交時痛」という意味になります。質問する際には pain だけでなくdiscomfor「t 不快感」といった表現も使うと患者さんは答えやすくなるでしょう。
pareunia と同じように coitus も「性交」という意味です。この coitus が形容詞となった coital にpost「- 後」が組み合わさった postcoita「l性交後の」という形容詞は意外と知られていない単語ですので、これを機会に覚えておいてくださいね。繰り返しになりますが、このような個人的な内容について尋ねる際には先ほど紹介した「前振り」を行うことを忘れずに。