英語で口頭症例報告の練習を行う際、日本人医師同士だとお互いが間違えている表現になかなか気づかず、 そのまま間違った表現を使い続けているということがよくあります。そこで今月も引き続き、日本人医師がよ く間違える表現に重点を置いて、口頭での症例報告での表現をいくつかご紹介しましょう。
以下の日本語を下線部に注意して英語にしてください。
まずは「社会歴」social historyの表現を見ていきましょう。 例文の「機会飲酒」は、友人や同僚などと一緒に外出したとき にだけ飲む「付き合い程度の飲酒」の意味ですので、to drink sociallyやsocial drinkerという表現が使われます。同様に「た しなみ程度」と言いたい場合にも、to drink occasionallyやmoderate drinkerといった表現が使えます。 また、英語圏では社会歴として「麻薬歴」も聞くことが一般的 ですので、麻薬を意味するillicit/recreational drugという表現 も覚えておいてください。
血圧(blood pressureもしくは略してBP)には「収縮期血圧 over拡張期血圧」という決まった表現があります。ここで注意 が必要なのは数字の読み方です。臨床の場面では122をone twenty twoのように、百の位の数字を簡略に読みます。一般的 な読み方の場合、英語では百の位と十の位の間に必ずandをつけ ますので、122を普通に読むときにはone hundred and twenty twoとなります。数字の英語の基本ですが、意外と知らない方が 多いので注意してくださいね。
ここでのポイントは何だと思いますか? それは単位の読み方 です。日本語では「センチメートル」や「ミリグラム」など単位 の読み方が「単数形」で固定されていますが、英語では数値が1 以外の場合(数値が0 ゼロ の場合も含めて)、すべて単位は複数形に なります。従って14cmは14 centimetersになりますし、「5 mg」 は5 milligramsになります。もちろんperのあとは単数になりま すので、10 g/qは10 grams per deciliterとなります。
症例報告では「~以外は特に異常なし」という表現がよく使わ れます。これにはいくつかバリエーションを覚えておいて対応するといいでしょう。例文にある“検査reveals(ed)所見, otherwise the 検査is normal.”のotherwiseは実際に英語圏の医師によく使われていますので、これを機に覚えておきましょう。
検査を行って「ほかにも所見はあったが、ここで特記すべきな のは以下に述べるものです」と言いたい場合、to revealなどよ りも、例文のnotable forのような表現が無難です。こうするこ とで、診断における検査の目的もより明確になるでしょう。
患者が他科や病院に「紹介」される場合、to introduceという動詞は使いません。プロがプロに「紹介」する場合はto referを使います。また、ここで紹介されたのが「当科」であることは明 確なのでto our departmentなども必要なく、「紹介状」もintroduction letterではなくreferralとなります。