普段自分が使っている内服薬の英語を知っていても、「座薬」や「絆創膏」となると“suppository”や“adhesive bandages”という単語がなかなか思いつかないことも多いでしょう。
また、英語圏ではあまり使われない「湿布」や「オブラート」なども、英語で表現するときにはちょっとした注意が必要になります。
そこで、今月は薬に関する英語表現を紹介いたします。
次の3つの文章を下線部に注意して英訳してみてください。
辞書に頼らず、1つずつ見ていきましょう。
日本では大人気の「湿布」ですが、英語圏ではあまり使われず、多くの人が一度も見たことすらないのが実情です。辞書で調べると、“wet compress”や“wet dressing”などが見つかりますが、まず通じないでしょう。例文の英語や、もう少し説明を加えた“transdermal therapeutic patch”のような表現でなければわかってもらえません。また、「温湿布」「冷湿布」は、それぞれ“warm/cold patch”と言えば伝わります。
カプセル“capsule”や錠剤“tablet”が主流で、粉薬をオブラートに包んで飲む習慣がない英語圏の人には、「oblaat(オランダ語)」という概念がまずありません。辞書 には“wafer”や“medical wafer”という表現も出てきますが、“medical wafer”といえば、「それ自体が薬になっている半透明の薄い膜」のことです。日本語の「オブラート」はあくまでも薬を「包む」ための物質ですから、例文のような「特別な包み」や、“wrapping paper”のように「包む」という情報を入れる必要があります。
飲み薬の指示の際に役に立つ表現です。“of”は入れても入れなくてもだいじょうぶです。
では、同じように下線部に注意して英訳に挑戦してください。
最初の文章では少し工夫が必要です。見ていきましょう。
こういう表現を英語にするとき、「院内処方」や「院外処方」といった名詞そのものを英語にしようとしがちですが、それではうまくいきません。たまたま日本語では「処方」という医療者側の行為に重点が置かれた概念に収まっているものの、英語でも同じように思考されるわけではないのです。例文では、「薬局」という「場所」に重点を置いた表現にしてみました。また、この表現を使った後には、必ずその違いを聞かれることになるので、そちらの準備もしていてくださいね。
もちろん“anticoagulant(抗凝血薬)”でもいいのですが、一般の方にはわかりにくい表現です。実際に血液が薄まるわけではないのですが、イメージとして「血液を水っぽくするもの」として、例文のような表現が使われます。
これにも“anti-pruritic”という医学用語がありますが、やはり一般の方には伝わらないでしょう。また「?の薬」には“medicine for/against?”という表現が便利ですので、ぜひ覚えてくださいね。