日常なにげなく使っている動作に関する表現も、英語となると「はて、どう言うんだろう?」というものも多いのではないでしょうか。またちゃんと英訳したつもりでも、具体的な動作として相手に伝わりにくいということもあります。 そこで、今月はそんな注意が必要な動作に関する英語表現を紹介いたします。
次の3つの文章の意味を下線部に注意して考えてください。
いかがでしたか?
具体的にイメージすることができたでしょうか?
では、見ていきましょう。
“to point”と聞いて「指差す」のイメージしかわいてこないと、この文章の正しいイメージが見えてきません。これは「一点に集中させる」というイメージの動詞ですから、“to point the foot down”で「足のつま先を(下に向けて)伸ばす」、つまり「底屈する」という意味になります。同じように「つま先を上げる」(背屈する)は“to point the foot up”となりますので、これを機会に覚えておいてください。
「めまい」“vertigo/dizziness”や「腰痛」“lower back pain”、その他整形外科疾患や神経疾患の診察で使われる表現です。ただし、この表現は、英語話者であっても英語を母国語としない患者さんには伝わらない場合もありますので、その際には“Please lift each leg alternatively as high as possible.”などと言い換えるとよいでしょう。
医師である読者の皆さんには「橈屈」“radial deviation”と言ったほうがわかりやすいかもしれませんね。では、「尺屈」“ulnar deviation”はどう言いますか? そうですね。“to move the hand toward the little finger”となります。
では、下線部に注意して次の文章の英訳に挑戦してください。
ここでのポイントは、その英訳で十分な情報が伝わっているか、ということです。では、見ていきましょう。
受験英語で「脚を組む」は“to cross legs”と習った方も多いでしょう。ただ、その知識だけだと例文のような表現には不十分です。日本語では「右脚を組む」だけでイメージが伝わりますが、英語で同じことを伝えるときにはどこまで言わなければいけないか、意識するようにしてください。
これも同じように「かかとから」「つま先から」の部分だけ英訳しても伝わりにくいので、例文のような補足した情報が必要になります。ほかにも表現があると思いますが、こういった自然な表現をできるだけ使えるようにしておくとよいでしょう。
これも、「肩をすぼめる」“to shrug the shoulders”だけで満足するのではなく、相手に動作が伝わらないときには例文のような具体的な動作に言い換えてあげるようにしてください。 このほか「肩」に関する表現では、「肩の荷が下りる」は日本語と同じように“weight off one's shoulders”となりますが、「肩身が狭い」では“shoulder”は使わずに“humiliated” “disgraced” “disparage”などの形容詞で表されます。