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タバコに関する英語表現

最近ではずいぶんと数が増えてきた「禁煙外来」ですが、これは英語ではどう表現するのかご存じでしょうか。
また、英語を話す患者さんには“Going cold turkey is not practical.”などを使う方もいらっしゃいますが、これはどういう意味なのでしょうか。
今月は「タバコ」に関する英語表現を紹介いたします。

ホームページにどう載せる?「禁煙外来」

ではまず、次の2つの文を下線部に注意して英訳してください。

  • 「 ニコチンの離脱症状には、頭痛やイライラ、それにタバコを吸いたい衝動などがあります」
  • 「当禁煙外来では、禁煙を補助するために、ニコチン代替療法といったお薬を使います」

どちらも簡単そうですが、いかがでしたか?

Nicotine withdrawal involves headache, irritability, and craving.

「離脱症状/禁断症状」は問題なかったと思いますが、ここでは特に「吸いたい衝動」のほうに注意してください。もちろんこれにはいろいろな表現がありますが、いい機会ですのでこの“to crave”という動詞を覚えてください。これは「何か強い衝動に駆られて欲する」という意味で、“to crave smoking”のように使われます。“to want”“to desire”などでも意味は通じますが、文脈に合った動詞を選べるようになりましょう。

Our smoking cessation clinic provides nicotine replacement and other medicines to help you quit.

「当院では禁煙外来も行っています」と英語の表現でホームページに載せようという方もいらっしゃるでしょう。「禁煙外来」には“quit smoking clinic”などいろいろな表現がありますが、“smoking cessation clinic”は実際によく使われている表現ですので覚えておいてください。“cessation”とは“cease”と同じ語源を持つ名詞で、話し言葉よりも新聞や雑誌などの書き言葉でよく使われます。医学分野でも“cessation of breathing”「呼吸停止」や“cessation of heartbeat”「心拍停止」というように使われますので、こちらの使い方も覚えておいてください。

“going cold turkey” ってどういうこと?

では、次に以下の慣用表現の意味を考えてみましょう。

  • I quit smoking by going cold turkey.
  • Safer cigarettes are just smoke and mirrors.
  • We believe it is the smoking gun for the disease.

「きっぱりと禁煙しました」

“to go cold turkey”とは、「タバコや麻薬など中毒症状のある悪い習慣をきっぱりとやめる」というよく使われる表現です。その由来には諸説ありますが、一般的には「麻薬の離脱症状で鳥肌(“goose bumps”)が出る(これが正しいわけではありません)から」と考えるようです。「いきなり全然吸わないようにしてもうまくいきませんよ」“Going cold turkey is not a practical option.”のように使いこなしてくださいね。

「安全なタバコなんていうのは、ただのまやかしだよ」

この“smoke”は「タバコ」ではありません。マジシャンが舞台の上で使う「目をだますもの」の代名詞がこの“smoke and mirrors”なのです。つまり「見た目や聞こえはいいが、中身の伴わないもの」や「ごまかし」という意味になるのです。  少し意味は変わりますが、“Reduced harm tobacco is just a pipe dream.”「有害作用の少ないタバコなんて夢物語だね」という表現もあるので、頭の片隅に入れてくださいね。

「これがその病気の原因だと考えています」

“smoking gun”もタバコとは関係ない表現です。これは「撃ったばかりで煙が立っている銃」のことで、「言い訳のできない決定的な証拠」という意味になるのです。ただ、最近では“smoking gun for Alzheimer's disease”「アルツハイマー病の原因」のように、「特定された原因」のような意味で使われることが多いので、覚えておいてください。