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眼に関する英語表現

英語圏のショッピングセンターではよく “optometrists” という表示を目にします。これは「検眼医」という日本にはない医療資格の名称で、街中で使われる際には「ここはメガネやコンタクトレンズの処方を行う検眼医のいる場所ですよ」という意味で使われています。このoptometristは日本の視能訓練士である orthoptist とは異なり、簡単な医療処置も行うことができます。このように「眼」に関しては、制度の違いによるわかりにくい英語表現がたくさんあります。そこで今月はこの「眼」に関するいくつかの英語表現をご紹介します。

まずは下記の「患者さんへの表現」の英訳を下線部に気をつけて考えてみてください。

  1. 1 「. このペン先を眼だけで追ってください。」
  2. 2. 「穴の空いている方向を教えてください。」
  3. 3. 「眼底検査をしますね。」

1.“Please follow the tipof this pen with your eyes without moving your head.”

「外眼筋」 extra-ocular musclesの動きを調べる検査で使う表現です。「眼だけで追う」をわかりやすく説明する際には、「顔を動かさない」という指示を付け加えるとわかりやすいでしょう。ここでのポイントはこの場合の「顔」は、英語では head となるということです。日本語をそのまま訳した face だと「顔の表情を動かさない」という意味になってしまいます。

2.“ Could you point in the direction of the open part to this ring?”

視力を測定する際、日本では「ランドルト環」 Landolt C を用いますが、英語圏ではアルファベットが並んだ Snellen Chart というものを用います。患者さんには “Could you read this line for me?” と指示して、測定する視力に該当する列のアルファベットを読み上げてもらいます。このSnellen Chart に慣れている英語圏の患者さんが、例文のような指示を受けずに日本の Landolt Cを読まされると、“C?”や “U?” のような珍回答をすることになってしまいますのでご注意を。

“Now I am going to look at the back of your eyes using this device.”

「眼底検査」はfundoscopyもしくは ophthalmoscopy ですが、このような難しい名称は使う必要はありません。例文のように「眼の奥を診ますね。」というような簡単な説明を心がけてみてください。

では次に前記の検査結果を表すカルテでの英語表現を考えてみましょう。

  1. 4「. 外眼筋運動正常」
  2. 5「. 両眼矯正視力1.0」

4.“Extra-ocular muscles are intact (EOMI).”

英語圏ではよく “EOMI”( 「イーオーミー」のように発音します)として表記されます。この intact は「構造物が損なわれていない状態」というイメージの表現で、身体診察の結果を表す際によく使われます。

5.“Vision with correction: OU 20/20”

「視力」は英語では visual acuity (VA) もしくは単純に vision となります。「裸眼視力」は vision without correction で「矯正視力」はvision with correction となります。視力の表記も英語圏では日本と異なり、日本の 1.0 は英語圏の 20/20 (twenty-twenty と読みます)に相当します。英語圏ではこの 20/20 の視力があれば “You have twenty-twenty perfect sight.” と言われて、それ以上の視力を測定することはありません(東京ミッドタウンにある “21-21 design sight” という美術館はこれが語源ですので、siteではなく sight を使っています)。また英語の表記が割り算となって日本の表記となるので、日本の視力 0.5 は英語の20/40 (twenty-forty) 、0.1は20/200 (twenty-two hundred) となります。この他、「両眼」「右眼」「左眼」は口頭では both eyes/right eye/left eye となりますが、カルテに書く際には、それぞれOU/OD/OSというラテン語の略語が使われます。