ドラマでも話題となりました「ギネ」こと産婦人科ですが、とりわけ女性の生殖器に関してはいろいろとデリケートな表現があります。
なかでも月経は、産婦人科の先生でなくても診察上、知っておいていたほうがよい表現がいくつかあります。
そこで今月は、女性の月経に関する表現をいくつかご紹介します。
以下の文章の意味を下線部に注意して考えてください。
「月経」と聞いてどんな単語を思い浮かべますか? 多くの方はmenstruationやmensesを挙げることでしょう。確かにこれらは医師や医療者のあいだでよく使われ、また一般の方にもかなりなじみのある単語ですが、やや直接的すぎる響きもあります。もう少し間接的なニュアンスを出したい場合には、例文にあるperiodのような表現を使うとよいでしょう。
flowはお察しの通り「流れ出るもの」というイメージの単語です。したがって生理中の女性の場合であれば、「流れ出てくる血液」のことを指します。もし医療者としてこの分泌物をもう少し正確に表現したいのであれば、menstrual dischargeという単語を使うとよいでしょう。
このほか、月経に関係なく出てくる「おりもの」はvaginal dischargeとなりますので、こちらも覚えておいてください。
これもやはり出血の表現です。to flowが「流れ出る」というイメージであるのに対し、to spotには「点状に出血する」というイメージがあります。 またこの動詞には、「スポットライトを当てるように見つける」という意味もありますから、spotting the sick childといえば、「病気の子どもを見逃さない」という意味になります。
次は月経に伴う「生理痛」の表現です。生理痛も腹痛の一種と考えてabdominal painとしてしまう方が多いのですが、残念ながらこちらでは、「生理痛とは別ものの腹痛」というイメージを与えてしまいます。生理痛にはcrampsやcrampingという決まった表現がありますので、こちらのほうを覚えておいてください。
ちなみにcrampsは必ず複数形になります。これはもちろん生理痛が通常1回ではなく複数回現れるからです。
次に少し月経関連の表現を見ていきましょう。
例文の表現はいわゆる「不妊症(infertility)」の外来などでよく使われる表現です。「妊娠する」にもいくつか表現がありますが、to get pregnantはやや生理的すぎる響きがあるので、「何か形をなす」という意味のto conceiveを使って婉曲的な表現にするとよいでしょう。またこの動詞が名詞化されたconceptionは、多くの方が記憶されている「認識」という意味のほかに「何か形をなすこと」から、「妊娠」「受精」という意味でも使われます。
前述したconceptionの接頭辞con-を、「妨げる」という意味のcontra-に置き換えたものがcontraception、つまり「避妊」となります。例文のrhythmというのはいわゆる「月経/排卵周期」を表しますので、日本語でこの言葉にあたる表現を挙げるとすれば「オギノ式」というものになるでしょう。
このように見知らぬ表現が出てきても、そのイメージから何を言わんとしているか想像できるように、発想を柔軟にしておいてくださいね。