日本中を熱狂させた侍JapanのWBC連覇。そして間もなく決着を迎えるサッカーW杯の最終予選。日本選手たちが見せてくれる「ガッツ」溢れるプレーは私たちを熱狂へと誘ってくれます。
日本語としてもすっかり定着したこの「ガッツ」ですが、英語の“guts”はじつにさまざまな意味で使われます。
そこで、今月はこの“guts”を使った英語表現をいくつかご紹介しましょう。
次の文章の意味を下線部の表現に注意して考えてください。
皆さんご存じのように“gut/guts”は「内臓」を表す口語表現です。そこから転じて「気力」や「勇気」といった日本語の「ガッツ」の意味が生まれたのですが、英語には他にもさまざまな使い方があります。この“gut feeling”は「理屈では説明のつかない身体の奥から生まれる感覚」というイメージです。「うまく説明できないけど、こういう確信がある」という意味で使われ、①は“My gut's telling me he's depressed.”とも表現できます。また“My gut reaction was that Dr.Davis made the right decision.”「デイヴィス先生の判断は正しいと感じた」のようにも応用できます。
英語の“to spill one's guts”は、「内臓を吐き出す」イメージから「本音/本当のことを話す」の意味になります。日本の刑事ドラマなどでも「吐く」は「白状する」の意味で使われますが、これと同じようなものと考えてください。
上述のように“guts”は「身体の奥底にあるその人の本質」のように使われます。ですから“to hate one's guts”で「その人の本質を憎む」という意味になります。
“blood and guts”「血と内臓」の言葉どおり、「血肉が散乱する」、いわゆる「スプラッタ」という意味の表現です。同じく“blood and gore”もよく使われるので覚えておいてください。また、“I don't want to get into a blood-and-guts discussion.”のようにも使われます。これは「血肉が飛び交うような状況」をたとえた表現で、「言い争いをする激しい議論には参加したくないね」という意味になります。
おかしくて死ぬほど笑うことを日本語では「お腹がよじれるほど笑う」と言いますが、英語では“to split one's gut laughing”「内臓が裂けるほど笑う」と言います。また、“to split”を“to bust”に置き換えても使えます。身体感覚のとらえ方が言語や文化によって異なるのは、じつに面白いですね。
前述のように“gut”には「理屈では説明つかない感覚」という意味があり、“to go with one's gut”で「(重要決定を行う際に)自分の感覚/勘を信じて決める」という表現になるのです。