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うつ病に関する英語表現

近年増加の一途をたどっている自殺者数。診療科を問わず、読者のみなさんも「うつ病」の患者さんを診察する機会が増えていることと思います。
ただ、英語には“Major depression”以外にも、さまざまな表現があるので注意が必要です。
そこで、今月はこのうつ病や気分に関する英語をいくつかご紹介しましょう。

いろいろある「うつ」を表す口語表現

次の文章の意味を下線部の表現に注意して考えてください。

  • “ How about depression?”“Yes. I feel blue sometimes.”
  • “ Mike’s really been down in the dumps lately. Try to cheer him up.”
  • “ Do you have depression?”“I need to tame the black dog with this medication.”

①以外は、見慣れない表現だったのではないでしょうか。

「 うつはありますか」「はい。ときどき気分が滅入ります」

 色に関しては、日本と英語圏で認識が異なる場合もありますが、この“to feel blue”は日本語の「ブルーな気分になる」と同じ意味です。このように「うつ状態」には“I feel depressed.”以外にも“Things sometimes get me down.”などさまざまな表現が使われます。

「 マイクが最近ひどく落ち込んでいるんだ。何とか元気づけてやってくれよ」

前述の“to feel blue”に比べれば、比較的年配の方が使う表現です。会話で使われるのを聞けば「気分が落ち込んでいるんだな」というイメージがなんとなくわくと思います。全体で一つの形容詞としてとらえると、“a little down in the dumps”「少し落ち込んでいる」のように簡単に応用することができます。

「 気分が落ち込んだりしますか」「はい。うつ病の薬を飲んでいます」

映画“Omen”で黒い犬は「悪魔の使い」として描かれていました。昔の英語圏の文化で黒い犬は「不吉なもの」と見なされていたのです。そこから“to have a black dog”は「不吉なものがついている」、つまり「気分が滅入る/落ち込んでいる」という意味で使われています。似ているとはいえ、“black cat”としてもこの意味にはなりませんのでご注意を。

“silver-lining girl”ってどんな人?

  • “I'm a silver-lining girl.”
  • “I've always been a glass-half-full kind of person.”
  • “ I had butterflies in my stomach during the job interview.”

どれも難しかったと思いますが、いかがでしょうか。

「 私ってどんなときにも前向きな女なのよ」

“lining”は“stomach lining”「胃の表面」などでおなじみの「内張り」の意味で、“silver-lining”は“Every cloud has a silver lining”「雨雲でも内側には太陽の光が当たっているところがあるように、どんなときにでも希望がある」という諺から生まれた表現です。実際には例文のように使われることが多いので、覚えておいてください。

「 私は『コップに水がまだ半分も入っている』と考えるタイプです」

英語でも“glass-half-full/empty”「コップに水がまだ半分も入っている/もう半分しかない」と使われます。前者は“optimist”、後者は“pessimist”という一般的なイメージが定着しています。

「仕事の面接のとき、ずっと緊張していました」

緊張するときに胃に症状が現れるのは万国共通ですが、面白いことに英語では「胃の中で蝶々が何匹も飛んでいる」“to have butterflies in the stomach”で、「ソワソワする/緊張する」を表現します。似たものに“to have one's heart in one's mouth”もあるので使ってみてください。