今や「カロリーオフ」「糖質ゼロ」といったキャッチコピーが当たり前となった「メタボ市場」。
「お腹を引っ込める」ということはもはや国民的な関心事です。多くの読者の先生も保健指導にお忙しいと思いますが、それが英語でとなると難しいのではないでしょうか。
そこで、今月はこの「お腹」に関する英語表現を紹介いたします。
まず、次の3つの文を下線部に注意して英訳してください。
「引っ込める」という日本語の表現に引っ張られてしまうと、不自然になります。例文のような表現がよく使われるので覚えておいてください。医師の皆さんが使うには適さないものですが、ほかにも「中年腹」を表す慣用表現として“beer belly” や“potbelly”が、そして「腰周りの贅肉」としては“spare tire” “love handle” “muffin top”といった慣用表現が使われます。
“six-pack”というのはビールなどの6本入りパックのこと。そこから転じて“six-pack abs”のように「6つに割れた腹筋」として使われています。余談ですが、「海に行く」“to go to a beach”も覚えておいてください。
筋肉がはっきりと浮き出たお腹を“washboard stomach”とも言います。そのためにはエネルギー摂取の制限だけでなく「筋トレ」も必要です。「筋トレ」も一般的には例文のように“workout”となりますのでお間違えのないよう気をつけてください。
続いて、以下の文章を英訳してください。
「内臓脂肪」にはほかにも、“organ fat”や“deep belly fat”のような表現があります。それでもよくわかってもらえない場合は“the fat that accumulates around the abdominal organs”のように説明すればよいでしょう。これに対して「お腹の皮下脂肪」は“abdominally subcutaneous fat”となります。
「ぽっこりお腹」と言えば、一般的には「ガスがたまって出っ張ったお腹」を意味することが多いようです。それに該当する英語であれば例文の表現でいいでしょう。これがさらにひどくなって「お腹が張っている」となれば“distended stomach”などの表現が一般的です。また、「ぽっちゃりお腹」を表現したい場合は“chubby belly”と言えばいいでしょう。
食事の後、胃に食物がたくさん残っている状態で運動すると、横隔膜に痛みが生じ、“side stitches”として自覚されます。原因をご存じない患者さんには、“Side stitches are a muscle spasm of the diaphragm.”と説明してみてください。
ちなみに、日本語では「お腹がよじれるほど笑う」と言いますが、英語では同じ意味として「痙攣」を意味する“convulsion”を用いて、“convulsion of laughter”という表現を使います。