高齢者宅訪問とは? 患者の声「電話健康相談」特集

※「ジャミックジャーナル」は2011年10月号より「ドクターズキャリア マンスリー」にリニューアルされました。

もっと聞きたい!患者のホンネ 保険同人社・電話健康相談より

高齢者に「もう年だから」は禁句

第9回

高齢者宅訪問事業の現場から

いかに高齢者を転倒させないかを考える

看護師 ● 宮山由香利

訪問事業でできる、 高齢者の転倒防止策

 弊社では、主に健康保険組合様から依頼を受け、平成8年から看護師または保健師による高齢者の訪問保健指導事業を実施しています。訪問事業で目指すのは、高齢者の方に、住み慣れた自宅で活力ある生活を送りつづけていただくための健康支援を行うことです。なかでも、慢性の整形外科疾患にウエイトを置いたサポートを実施してきました。
 高齢期の整形外科疾患の原因としては、交通事故や転倒、骨粗鬆症のほか、運動不足による筋力の低下、肥満などによって膝や腰に慢性的な痛みがでている場合が多くみられます。
そこで弊社訪問事業では、高齢者の自立機能低下の大きなきっかけとなる「転倒」に特に注目し、その予防に力を入れてきました。
 ご自宅へうかがいますと、食習慣をはじめ、生活環境、家族関係など、その方の生活を多方面から知ることができます。転倒予防に関しては、段差解消やコード類の整理、照明調整、手すりや滑り止めの設置などについて必要に応じてアドバイスしています。加えて眼鏡や補聴器の調整、履物への配慮などもお伝えします。
また、訪問時には、転倒予防を啓発する資料とともに、安全に使える脚力強化グッズを持参し、お渡ししてきました。
 「足指じゃんけん運動ができる5本指ソックス」「スロー筋トレ実施用のボール」などがそうです。
 ここ数年は、整形外科のドクターと共同でプログラムを作成し、エクササイズボールを使って、高齢者向けのスロー筋トレの実技指導も行っています。
 安全性には細心の注意を払い、指導前に血圧と脈拍測定を行うほか、受診中の方は必ず主治医の許可を得てから実施するようにお伝えしています。
 訪問後、一定期間を置いて対象者にお電話でフォローを行いますと、喜びの声をたくさんいただきます。なかには、最初はがんばったものの、そのあと中断しているという方もいらっしゃいますが、そうしたときは、中断理由をうかがい、後押しします。中断しながらも再スタートを繰り返すうちに、その重要性に気づく出来事が起こり、最終的には継続習慣が身についていくように思います。

ドクターの一言で 通院が敬遠されることも

「先生に痛みがあることを話したら、『もう年だからしょうがないですよ』と言われてとても悲しかった」という声を訪問現場で聞きました。これはまれなケースかもしれませんが、ドクターに老化現象として片づけられてしまうと、高齢者の方が必要な通院を敬遠して治療が遅れ、悪化する場合もあります。将来へ の希望も失われかねません。
 整形外科の通院を中断している方のなかには、「電気治療、温湿布や痛み止めの効果はその時だけで、1年通っても痛みが取れなかった」というケースもあります。実際には、高齢者に対する慢性の整形外科疾患の治療はこの10年で大きく変化し、「整形外科でトレーニングしています」というお話をうかがうこともあります。治療とともに健康増進として筋トレを行う医療機関も増えています。
 慢性の内科疾患などで定期的に通院されている患者さんが、あるとき膝に湿布を貼ってきたり、歩き方がおかしいと感じたりしたときは、「どうかされましたか?」とお声をかけていただけると、患者さんの隠れている整形外科疾患の発見につながることがあると思います。
 また、高齢者が足の指を深爪したり、足裏に魚の目ができたり、心配事があって不眠が続いたりしていると、転倒につながる場合があることを、診察時にさりげなくお伝えいただけますと、予防に対する認識も変わってくると思います。
 最近は、高齢期を迎えても、むしろ、「いつまでも若々しく元気でいたい」という思いが強くなっているのを感じます。その思いが健康づくりに結びつくよう工夫しながら、弊社では今後も支援を続けていきたいと思います。

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※当記事はジャミック・ジャーナル2009年12月号より転載されたものです
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