妊婦や授乳中の相談とは? 患者の声「電話健康相談」特集

※「ジャミックジャーナル」は2011年10月号より「ドクターズキャリア マンスリー」にリニューアルされました。

もっと聞きたい!患者のホンネ 保険同人社・電話健康相談より

妊婦や授乳中の母親は「薬」が気になる

第8回

助産師●花俣賀代

 今回は、妊娠・出産といった産科に関して、弊社の電話相談窓口へ寄せられた声を取り上げてみます。
 2008年度の、女性の健康と妊娠出産に関する相談件数は1,795件でした。相談者の年齢は、出産年齢の高齢化を反映して30歳代がトップで半数を占め、次いで20歳代(14.7%)、40歳代 (14.3%)となっていました。
 相談内容の内訳は下表のようになっていて、妊娠中および産褥のいずれも“薬”の相談が多いのが特徴です。たとえば授乳中のお母さんからは、市販の頭痛薬や歯痛止め、風邪薬などを「飲んでも大丈夫でしょうか」といった問い合わせがよくあります。薬の成分が母乳に出て、乳児に悪い影響を及ぼさないかと心配されます。また、「いま薬を飲んだのですが、どのくらいの時間で母乳中の薬の濃度が最大になるか教えてください」といったことを尋ねてこられるお母さんもいらっしゃいます。
 なかには、授乳中のお子さんへの影響を気にして抗生物質の服用を我慢したために、副鼻腔炎を悪化させてしまったお母さんや、5歳になるお子さんの言葉の発達が遅いのが、妊娠6ヵ月のときに服用した薬の影響ではないかと心配する声もありました。
 弊社の電話相談では、服薬について具体的な指示はできません。ですから、薬の一般的な薬理作用や特徴、適応、相互作用、薬理時間などについて基本的な情報をお伝えしたあと、必ず主治医に相談してその指示にしたがうようにお話ししています。

ドクターのなにげないひと言で妊婦は動揺する

 薬の問題に限らず、本来、不安なことについては主治医に尋ねるのが原則です。しかし、それができない人が多いことが気になります。
 ドクターから説明を受けても十分に理解できない、上手に質問できない、聞き忘れてしまったということのほか、ドクターに遠慮してしまうケースが少なくありません。「先生は忙しそうだから質問をしてはいけないのではないか」「こんなこと聞いては失礼ではないか」というわけです。
 一方でドクターに対する不満の声も聞かれます。「先生はパソコンの画面ばかり見て、話をよく聞いてくれない」「何をいっても『ああそうですか』というだけで会話ができない」という具合です。さらに、質問しても納得のいく回答が得られなかったとか、ドクターに細かく質問をしたところ、「そんなに神経質にならなくても大丈夫ですよ」といわれたという声もありました。
 また、ドクターがなにげなくつぶやいたひと言で、ひどく傷ついてしまう妊婦さんも結構いらっしゃいます。
 妊婦健診の際、ドクターから「赤ちゃん、ちょっと小さいですね」といわれて心配になり、弊社へ電話をかけてこられるケースなどがまさにそうです。妊婦さんにとって“標準と違う”ということは想像以上に大きなストレスになるものです。小さいということ以外でも、「ちょっと大きいですね」「心音が少し弱いね」 「頭が大きいね」「手足が少し短いかもしれない」といった言葉に、妊婦さんは過敏に反応します。
 いずれの場合も、たいてい「次の健診まで様子をみましょう」となります。しかし、帰宅したあと「本当に放っておいて大丈夫なのだろうか?」「異常なのでは?」「奇形ではないのか?」「病気なのかしら?」と不安がどんどん募って、弊社へ問い合わせてこられるのです。
 次の健診まで、妊婦さんができるだけ不安を抱えて過ごすことがないような説明を、ドクターにお願いしたいと思います。

助産師や薬剤師をもっと活用してほしい

 とはいえ、ドクターとしても、忙しい診療のなかで一人ひとりの患者さんの相談にじっくり耳を傾け、すべての不安を取り除くようにするというのは、現実的にはなかなか難しいのが実情だと思われます。
 そこで、妊婦さんのケアに関しては、助産師や保健師、薬剤師などのコメディカルを上手に活用してもらいたいというのが私の希望です。
 大きな病院では、助産師外来を設けて、問題のない妊婦さんは助産師が中心となり、妊娠中から産褥期まで管理して成功しているところもあります。
 地域によっては、保健センターなどで助産師や保健師が、妊婦さんの相談を受け付けていたり、両親学級を開いていたりします。両親学級は、日本助産師会や日本看護協会でも開いていますので、そうした情報を妊婦さんに伝えていただければ、妊婦さんが地域の保健師や助産師と出会えるきっかけになります。ドクターの負 担もかなり軽減されるはずです。
 また、薬について不安がある患者さんに対しては、各都道府県に設置されている「消費者薬相談窓口」や、厚生労働省の「妊娠と薬情報センター」などを案内したり、薬局の薬剤師さんとうまく連携して、ドクターの ほうから「薬局で薬をもらうときに薬剤師さんに納得がいくまで説明してもらってくださいね」といった言葉かけをしていただくだけでも、妊婦さんの安心感、満足度はかなりあがると思います。

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※当記事はジャミック・ジャーナル2009年11月号より転載されたものです
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