皮膚科の相談とは? 患者の声「電話健康相談」特集

※「ジャミックジャーナル」は2011年10月号より「ドクターズキャリア マンスリー」にリニューアルされました。

もっと聞きたい!患者のホンネ 保険同人社・電話健康相談より

皮膚科の相談は「発疹」関連が圧倒的に多い

第4回

看護師●秋本美智子

 2008年度に弊社へ寄せられた電話健康相談は約15万件です。
 そのうち、皮膚の症状や病気に関する相談は6,939件でした。
 皮膚症状のなかでも圧倒的に多いのが「発疹」に関する相談です。病名でいうと、蕁麻疹、帯状疱疹、単純ヘルペス、アトピー性皮膚炎などがこれに該当します。とくに、お子さんの発疹を心配して、親御さんが電話をかけてこられるケースが多数を占めていました。
 発疹以外では、爪の異常や皮膚のかゆみ、紫斑、脱毛などの症状が多く、病気別ではアタマジラミ、水虫(足白癬)に関する相 談が上位にランキングされています。
 また、すでに受診している方からは、ステロイド剤の使い方についての問い合わせも多く寄せられています。使用中のステロイド剤の強さや1回の使用量、塗り方のほか、ステロイド剤は怖いという思い込みから、「副作用が心配で使えない」「使い続けるうちに徐々に量が増えていくので心配になってきた」という声もよく聞かれます。なかには、少し症状が緩和すると、医師の指示を無視して勝手にステロイド剤の使用を中断し、通院自体をやめて市販薬に切り替えている例も少なくありません。一度中断すると受診しにくくなって、また初診から始める方もいらっしゃいます。
 皮膚科疾患のように薬の効果や経過が大切な疾患は、結果的に症状の悪化や「なかなか治らない」ことにつながっている可能性も推測されました。

アトピー性皮膚炎のお子さんの事例

 治療効果がなかなか得られないケースもあります。お子さんのアトピー性皮膚炎はその代表です。
 Aさんの息子さん(8歳)の場合もそうでした。Aさんの息子さんは、アトピー性皮膚炎で皮膚科に通院していますが、1年たっても治療効果が実感できないことから、「このまま治療を続けても大丈夫でしょうか」という相談を寄せてこられたのです。
 一般に、アトピー性皮膚炎の治療は、?@薬物療法、?Aスキンケア、?B生活習慣の是正、の3つで治療していくことになります。
 ?@はドクターの範疇ですので、主治医に直接相談するようAさんにお話しし、?Aと?Bについて細かなアドバイスを行いました。具体的には、育ち盛りのお子さんは汗をかきやすいので、こまめにシャワーを浴びさせましょうとか、入浴はぬるめのお湯で短時間とし、刺激の少ない弱酸性の石鹸を使ってこすらないように洗ってあげましょうとか、さらには入浴やシャワーのあとに適切な保湿剤を塗りましょう、衣類は刺激の少ない木綿のものを選び、洗濯物はよくすすいで、十分に乾かしてから着用させるようにしましょう、柔軟剤の使用は控えましょう、といった具合です。
 そして、ストレスも引き金になることから、学校や塾での友達関係、親御さん同士のコミュニケーションなどを見直す重要性についても指導し、電話相談を終了しました。
 Aさんのお子さんのように、長期的な治療が必要で、なおかつ完治が難しい皮膚疾患の場合は、最初の段階でドクターから治療目標を伝えていただけると、患者さんは安心して最終の目標地点までがんばれるのではないかと考えます。
 アトピー性皮膚炎の治療の目標は、日本皮膚科学会でも『ガイドライン』を示しています。そうした資料を提示しながら、「生活上支障のないところを目指し、気長につきあっていきましょう」といった言葉かけをしていただくと、それだけでも患者さんの満足度がぐんと高まることを日々の電話相談で実感しています。

ドクターのひと言が患者さんの意識を変える

 電話相談を受けていますと、一般の人たちの皮膚疾患やその治療に対する基礎的な知識が十分でないことも痛感します。
 たとえば皮膚科の病気は、俗称と医学的病名が異なる場合がよくあります。そのため、軽い皮膚症状のつもりで受診したら、医師がカルテに「尋常性座瘡(俗称:ニキビ)」とか「伝染性軟属腫(俗称:みずいぼ)」といった難しい病名を書きこんでいるのを見て驚き、弊社へ問い合わせされる方が結構いらっしゃいます。
 また、皮膚疾患では“伝染”に対する不安の声も多く寄せられています。帯状疱疹を単純ヘルペスと混同し、「誰からうつったのか」「家族にうつるのではないか」と心配して電話をかけてこられるケースなどがそうです。
 ドクターにたずねればすぐに回答が得られる案件ですが、それができない患者さんがたくさんいることがいちばんの問題といえます。ステロイド剤に対する過剰な反応も同様です。
 弊社の電話相談では、ドクターへの質問の仕方などもアドバイスしていますが、できればドクターからも、ステロイド剤を処方するときに「これは一般によく使われているタイプのものですよ」といったひと言を添えていただくと、治療を中断したり、ドクターショッピングを繰り返したりする患者さんはかなり減ると考えられます。
 また、皮膚疾患が生じている背景には、糖尿病などの深刻な病気が隠れている場合もあります。そうした慢性疾患の合併症としての皮膚疾患のリスクについても、ドクターから強く啓発していただけると、前向きに治療に取り組む患者さんが増えるのではないかと期待しています。

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※当記事はジャミック・ジャーナル2009年7月号より転載されたものです
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