「睡眠障害」の悩みとは? 患者の声「電話健康相談」特集

※「ジャミックジャーナル」は2011年10月号より「ドクターズキャリア マンスリー」にリニューアルされました。

もっと聞きたい!患者のホンネ 保険同人社・電話健康相談より

睡眠時無呼吸症候群による「睡眠障害」の悩み

第1回

看護師・産業カウンセラー●斉藤なほみ

 「眠り」に関する悩みの声は、弊社の電話健康相談に多く寄せられています。睡眠時間は確保しているのに熟睡感が得られない、朝の目覚めが悪い、日中しばしば眠気に襲われる、あるいは集中力が欠けて仕事でミスをしてしまう、といった声も聞かれます。
 睡眠障害を訴えてこられる方の半数以上にお気持ちの問題がうかがえますが、耳鼻科系の問題、すなわち「睡眠時無呼吸症候群」による睡眠障害と考えられるケースも少なくありません。今回は、この睡眠時無呼吸症候群に関して寄せられた声を紹介します。
 睡眠時無呼吸症候群とは、就寝中、何らかの原因で気道が閉塞し、1時間に5回以上、または7時間に30回以上、呼吸が10秒を越えて止まってしまう状態をいいます。眠りの質が悪くなるため、前述のような睡眠障害が起こるほか、放っておくと心臓や血管に負担がかかって、高血圧、心疾患、脳卒中などにつながる危険性もあるといわれています。
 一般に、40〜50歳代の男性に多くみられ、弊社へ電話をかけてこられる方も、その年代の男性(または配偶者)が大半を占めます。「いびきがひどいのですが、何か解決策はありますか?」「寝ているとき、主人の呼吸が何度も止まっているので、睡眠時無呼吸症候群ではないかと心配しています。詳しい検査を受けられるところを教えていただけますか?」といった具合です。

ドクターの言葉に「納得できていない」人々

 ご家族などから指摘されて初めて、自分が睡眠時無呼吸症候群かもしれないと気づく場合がほとんどですが、自覚症状がないうちは、当人は至ってのんきです。周りからうながされて渋々受診し、「睡眠ポリグラフ」という専門的な検査を受けるようにドクターに勧められて戸惑っている声を耳にすることもあります。
 「睡眠ポリグラフ」とは、睡眠時に無呼吸(または低呼吸)が出現するかどうか、出現した場合どの程度のものかといった情報を得ることができる検査法です。治療のしかたを決定する上でも欠かせないものですが、専門の医療施設に泊まって検査をおこなうことから、自覚症状のない人にとっては「そこまでして検査を受ける必要があるのだろうか」と躊躇してしまうわけです。
 また、検査を受けて睡眠時無呼吸症候群と診断され、治療につながったケースでも、結局その治療になじめなくて「他の治療法はないでしょうか」と相談を寄せられる方もいらっしゃいます。睡眠時無呼吸症候群の治療法としては、特殊な鼻マスクから送り込まれる空気の圧で、気道の閉塞を防ぐ効果的な治療法ですが、あくまで対症療法ですので、長期にわたっての装着が必要となります。そのため、「毎晩つけて寝るのがうっとうしい」「圧のかかる感じが不快だ」という理由から中断し、そのことを医師に伝えることができないまま、2年間も放置しているケースがありました。
 他方、夜中に息苦しさを覚えて何度も目覚めるような体験をしている人からは、逆に「もっと詳しい検査や、より効果的な治療をしてもらえる医療機関を教えてほしい」という相談を受けることがあります。たとえば、自分は睡眠時無呼吸症候群だと確信して受診したのに、ドクターからその病名は告げられず、のどの腫れも「たいしたことないですよ」と診断され、「納得できない」というご相談がありました。本人がその場でドクターに「睡眠時無呼吸症候群の心配はないですか?」とひとことたずねれば、不安な気持ちはすぐに解消されたでしょうが、この方は患者からドクターに憶測で病名を問うのは失礼だと考え、悶々とした思いで帰宅したそうです。

心の中の「ホンネ」を伝える重要性

 このように、電話相談に寄せられる声を聞いていますと、多くの患者さんがドクターとうまく話ができていないと痛感します。
 ドクターに自分の思いを伝えられないのは、とても危険なことでもあります。たとえば、精神科でうつと診断されて抗うつ剤を長いこと飲んでいる方から、「いつまでたっても睡眠障害が治らない。いびきがひどいので、もしかしたら自分は睡眠時無呼吸症候群ではないかと思うのですが・・・」というご相談がありました。この方に対しては、睡眠時無呼吸症候群という病気についての基礎的な情報を伝えると同時に、とにかく主治医の先生に「いま処方されている抗うつ剤が効いている実感がない」こと、そして「いびきがひどい」ことを必ず伝えるようにお話ししました。
 いずれの場合でも、心の中の不安を言葉に出してドクターに伝えることが大切ですと、私どもは繰り返しお伝えします。
 できれば、ドクターからも「何か心配なことはありますか?」とひとこと声をかけていただけますと、患者さんは少し話をしやすくなるのではないかと思います。また、絵や写真などが入っているパンフレットのようなものを示しながら説明してくださると、頭に入りやすく、十分に説明していただいたという満足感が得られることを、私自身も体験しています。
 もちろん、お忙しいドクターの負担を少しでも軽減できるよう、私どもも電話相談というツールを通して、患者さんが上手にお話しできるよう、これからも精一杯サポートさせていただきます。

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※当記事はジャミック・ジャーナル2009年4月号より転載されたものです
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