電話相談の役割とは? 患者の声「電話健康相談」特集

※「ジャミックジャーナル」は2011年10月号より「ドクターズキャリア マンスリー」にリニューアルされました。

医者に言えない 患者のホンネ 保険同人社・電話健康相談より

  • 第9回
  • 精神保健福祉士・
    産業カウンセラー望月香織

 7月号と8月号で、弊社のメンタルヘルスグループ(心の相談室)へ寄せられている電話相談の内容をお伝えしました。心の悩みに対するアプローチは、電話健康相談の柱の一つでもありますので、今回も、その活動状況を紹介させていただきます。
 最近は世相を反映して、休職中の方から、療養法や復職に向けての準備、復職後の再発予防などについてご相談を受ける機会が増えています。
 たとえばAさん(30代、男性)は、過重労働がきっかけでうつ病を発症し、主治医から「3ヵ月は休職するように」と言われました。現在、休職2ヵ月目。2週間に1度のペースで通院し、薬も服用しています。心身の調子がだいぶよくなってきたので、そろそろ復職したいと考え、その意向を主治医に伝えたところ、「あと1ヵ月間はゆっくり休みなさい」と言われたそうです。
 Aさんとしては、仕事への影響も考えて一刻も早く復職したかったのですが、主治医にそれを伝えることができなかったといいます。「主治医の指示どおり、あと1ヵ月間休んだほうがいいのでしょうか」というのが、Aさんのご相談でした。
 そこで、Aさんの心身の状態や、日中の活動状況、主治医の指示、職場との関係性などを確認したうえで、次の受診時に以下の事項について主治医に質問してみるようアドバイスしました。

◆ 先生が「休息がまだ必要」と考える理由
◆ Aさん自身は、心身の調子がよくなったと感じているが、ドクターは、Aさんの現在の病状や回復の度合い、今後の見通しについてどのように考えているか
◆ あと1ヵ月間休むのであれば、復職までの準備として日常生活の活動の幅を広げても問題ないか
◆ 再発予防のための注意点

 これらの質問事項を整理するうちに、Aさんは少しずつ自分の状況を客観視できるようになりました。そして「自分は復職を焦っているかもしれない」と気づき、今後は主治医の指示のもとで、具体的な計画を立てていきたいといって相談を終了しました。

次の診察日までサポートするのも重要な役割

 弊社の心の相談は、1回30分程度を目安に対応していますが、それよりも長くなる場合もありますし、複数回にわたってご相談 いただくケースもしばしばです。
 健康な方からの相談も多く、職場での人間関係や仕事の悩み、あるいは育児、夫婦関係、ご近所付き合い、高齢の親御さんの介護の問題まで、さまざまな相談が寄せられます。健康な方の場合、相談というより、「とにかく愚痴を聞いてほしい」という内容もあります。
 性別でみますと、女性は、胸の中に溜まっている思いをある程度吐き出すと、「気分がすっきりした」と言って満足されるケースが少なくありません。これに対して男性の場合は、基本的に自分ひとりで解決しようとする傾向が強くみられます。そのため、心身ともかなり追い詰められた状況で弊社へ相談するケースが目立ちます。
 すでに受診中の方からは、「カウンセリングを併用すべきでしょうか」「薬の副作用について教えてください」「薬に頼らずに治す方法はありますか」といった声のほか、診察日と診察日の間に不安が募って電話をかけてこられる方も結構いらっしゃいます。薬は十分手元にあるものの、「次の診察日まで待つのが苦しい」「病院へ行くべきでしょうか」と相談してくるのです。そうした患者さんを次の診察日まで支えるのも、私たちの重要な役目となっています。

主治医に上手に質問するためのノウハウを伝授

「主治医を替えたほうがよいでしょうか」という質問を受けることもあります。理由はさまざまですが、よく聞かれるのが「いつまでたっても病気がよくならない」「今のかかりつけの先生は病気や薬のことを詳しく説明してくれない」といった声です。
 そうした相談に対しては、話をひととおり聞いたあと、必ず「主治医の先生と一度じっくり話し合ってみてください」と伝えるようにしています。主治医に対する不満を解決しないまま別のドクターを受診しても、結局、また同じような不満がでてきて、ドクターショッピングを繰り返す可能性が高いからです。
 自分の意見をはっきり言ったり、質問したりするのをためらう人ほど、主治医に不満を抱いている場合が少なくありません。そのため、患者さんの不満が主治医に伝わっていないケースが結構多いと考えられます。
 主治医にどう質問したらいいのか、どのような形で相談するのがよいのかといったことをアドバイスするのも、私たちの日常業務の一つとなっています。冒頭で紹介したAさんのケースがまさにそうです。限られた時間のなかで効率よく質問できるように、前もって聞きたいことを整理してメモし、それを見ながら質問するようにお伝えすることもあります。
 電話によるサポートで、主治医と患者さんの距離を少しでも縮めるお手伝いができれば幸いと考えております。

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※当記事はジャミック・ジャーナル2008年12月号より転載されたものです
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