食事指導の相談とは? 患者の声「電話健康相談」特集

※「ジャミックジャーナル」は2011年10月号より「ドクターズキャリア マンスリー」にリニューアルされました。

医者に言えない 患者のホンネ 保険同人社・電話健康相談より

  • 第6回
  • 管理栄養士 高木澄子

 弊社の電話健康相談には、食事に関するお問い合わせも多く寄せられています。そのうち、受診中の方からの栄養相談は次の2つのタイプに分けることができます。1つは「主治医から食事について特に指導は受けていないのですが、何か注意点があれば教えてください」というご相談、そしてもう1つは「主治医から指示はあったのですが、具体的に何をどう食べたらいいのかわからない」というご相談です。
 前者は、主治医とうまくコミュニケーションがとれていない場合が多い印象があります。「先生がお忙しそうだったので遠慮して聞けなかった」という声がよく聞かれるほか、緊張していたり、さまざまな情報を一度に聞いて混乱していたりして、主治医の言葉が耳に入らなかったと思われるケースもしばしばです。一方、後者の「具体的に何をどう食べたらいいのかわからない」というご相談は、生活習慣病を患っている方からよく受けます。 主治医から、病気の説明や服薬の指導を受けたあと、「食事も気をつけてくださいね」と言われて「はい」と返事をしたものの、帰宅してから「気をつけるってどういうことだろう」と困ってしまうケースです。
 たとえば、高脂血症の患者さんに「卵を控えてください」「コレステロールの多いものは要注意です」といった指導が、また、糖尿病の患者さんに対しては「バランスのいい食事を」「食べ過ぎはよくないですよ」といった指導がなされることがあります。
 患者さんとしては、そのときは具体的な指導を受けたような気分になって「わかりました」と納得するわけです。ところが、実際に食事に反映しようとすると、具体的なイメージがわいてこない。卵は1日何個までなら問題ないのか、「バランスのいい食事」とはどういうものなのか、コレステロールにどう注意すべきなのか、「食べ過ぎはよくない」と言われても何をどのくらい食べていいのかなど、さまざまな疑問がわいてくるのです。

主治医には伝わっていない情報も浮上

 40歳代の男性、Aさんの例を紹介しましょう。Aさんは、診察の折、主治医から「尿酸値が高いのでプリン体の多い食品を控えるように」と指導されたそうです。このとき、どのような食品にプリン体が多く含まれているのかわからなかったのですが、主治医に直接尋ねることができず、帰宅後、弊社に問い合わせてこられたのでした。
 日常の食事内容を聞いてみると、プリン体の多い食品(レバーなど動物の内臓類、かつお、いわし、干物など)を特に好んで摂取している様子はありませんでした。「主治医から他の指示はありましたか?」と尋ねたところ、Aさんは「いいえ」と答えました。ただ、ご自身で購入した家庭の医学書に、プリン体以外にも食生活の注意点が書いてあったことから、その詳細を知りたいとのことでした。
 そこで、尿酸の排泄を促すには水分や野菜をしっかりとることも大事なので、それらの1日の摂取目標を伝えました。そして、念のために肥満の有無を確認しました。するとAさんは「じつはBMIが25以上あって太っているのです」と言います。過去に7?sのダイエットに成功した経験があるそうですが、再び体重が戻ってしまったということでした。
 食事の量が多いと、どうしてもプリン体の総摂取量が増えてしまいます。また、肥満は他の生活習慣病の原因にもなることから、Aさんには減量する重要性を伝えました。さらに、お話しをしている途中で、Aさんがかなりの酒豪であることもわかりましたので、飲酒も尿酸値の上昇につながることを説明しました。

食事という些末なことで質問していいのか

 相談者の多くは、すでに主治医から何らかの食事指導を受けています。したがって、私たちはまず「主治医はどうおっしゃっていましたか」と確認し、あくまで主治医の指示に沿った形でアドバイスするようにしています。
 とはいえ、前記のAさんの事例のように、相談者のお話をじっくり聞くうちに、主治医に伝わっていない情報がいろいろと浮かび上がってくる場合が少なくないのも事実です。
 最近は、生活習慣病を予防・改善するうえで食事が重要なカギを握っていることは、患者さん自身もマスコミなどを通じてある程度の知識を得ており、強い関心を抱いています。その反面、「食事という些末なことで主治医に余計な質問をしてはいけないのではないか」と懸念している方が想像以上にたくさんいらっしゃいます。
 実際に、主治医の忙しい診療スケジュールを考えますと、管理栄養士が常駐していない医療施設では、患者さん一人ひとりに詳細な食事指導を行うのは難しいのが現実と思われます。
 そうしたドクターと患者さんのすき間を埋めるのが私たちの役目と考えていますが、できればドクターのほうからも、診察の際、患者さんに「食事について何か心配なことや聞きたいことはありますか?」と少し水を向けていただけると、患者さんの満足度および安心感はぐんと高まるのではないかと思います。

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※当記事はジャミック・ジャーナル2008年9月号より転載されたものです
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