セカンドオピニオンの相談とは? 患者の声「電話健康相談」特集

※「ジャミックジャーナル」は2011年10月号より「ドクターズキャリア マンスリー」にリニューアルされました。

医者に言えない 患者のホンネ 保険同人社・電話健康相談より

  • 第3回
  • グループリーダー看護師
    冨田亜都子

 弊社の電話相談には、セカンドオピニオンに関するお問い合わせも多数寄せられています。
セカンドオピニオンのご相談には、健康コンシェルジュという専門の相談員が対応させていただいています。具体的なサポート内容としては、弊社のデータベースをもとに、ご相談内容に応じた医療機関およびドクターをご紹介したり、弊社と提携関係にある専門医と電話をつないで直接お話しいただいたり、さらに昨年からは、医療機関や専門医への紹介状の発行も開始しました。「マイドクター」というサービスです。
 ただし、相談者の方に無作為に医療機関やドクターをご紹介しているわけではありません。健康コンシェルジュの役割は、ドクターショッピングや重複診療を防ぎ、真の意味で“よいドクター”にかかっていただくことにあります。ですから、医療機関やドクターをご紹介する前に、相談者の方には必ず、「なぜセカンドオピニオンを必要とされるのか」ということを詳しくうかがうようにしています。
 たとえば、セカンドオピニオンという言葉は一般に広く使われるようになりましたが、その意味を正確に理解されている方は意外に少ないのが実状です。
 セカンドオピニオンというのは、ご承知のように、現在受診しているドクターの見立てに対して、別のドクターの見解を求める仕組みのことです。ところが、相談者のなかには、セカンドオピニオンを“転院”と混同されている方がたくさんいらっしゃるのです。そうした誤解を解き、正しい情報を啓発していくことも、私たちの重要な役目と考えています。

40代男性がセカンドオピニオンを選択した経緯

 先日、セカンドオピニオンを求める方の「心理」を象徴するような事例がありました。以下にご紹介しましょう。
 ご相談者は、東京在住の40代の男性でした。地方にお住まいの65歳のお母様が、地元のがんセンターで胃がんの末期と診断され、「積極的な治療法はない」と言われたそうです。ですが、目の前にいるお母様は比較的元気で、とても末期の状態には見えません。そこで、セカンドオピニオンを考えたといいます。
 しかし、このとき男性は、セカンドオピニオンについて主治医には相談しなかったそうです。「がんセンターは、がん専門の病院ですから、そこの先生の診断が間違っているとは思いませんでした。でも、どうしても治療を諦めることができず、転院というお話も出ていたので、それなら主治医に相談するより、治療してもらえる専門病院を自分で探したいと思いました」
 ご相談を受けた弊社では、さっそく緩和ケアを積極的に行っているドクターのいる病院と、胃がんの治療実績のある病院へ紹介状を発行しました。ところが、受診予定日の前日にお母様の容態が急変。幸い、紹介状を発行した先の病院ですぐに受け入れてもらえたものの、専門医の診察の結果、当初の診断どおり「効果的な治療法はない」ことが判明しました。
 このセカンドオピニオンの結果を受けて、ご本人とご家族は十分に納得され、緩和ケアの病棟に入院したのち、患者さんは亡くなりました。後日、ご家族から「残念な結果になりましたが、よい先生にめぐりあい、納得して、穏やかな気持ちで死を迎えることができました」と、お礼のお電話をいただきました。

セカンドオピニオンを求める相談者の心理

 上記の男性のように、セカンドオピニオンを行うにあたって、「主治医の先生には相談しない」とおっしゃるケースがかなりあります。主治医の診断を、別のドクターに検証してもらうことに対して後ろめたさを感じる方が多いようです。「日ごろからお世話になっている先生に申し訳ない」という理由で、セカンドオピニオンが日本人になじみにくいと言われるゆえんでもあります。
 また、セカンドオピニオンで現在の治療法を支持された場合、主治医のところへ戻るのが気まずくならないように内緒にしているという声もよく聞かれます。
 いずれの場合も、相談者の多くは、「主治医の先生のことは信じています」「先生には昔から家族ぐるみでお世話になっているのです」といったことを何度も繰り返します。それでもなお、「別の先生の見立てをちょっと聞いてみたい」というのが患者さんのホンネのようです。
 最近は、「主治医の先生からセカンドオピニオンを勧められました」と言ってお電話をかけてこられるケースも増えてきました。ドクターのひと言で、患者さんの選択肢は大きく広がるとともに、ドクターに対する信頼感もぐんと増すのが感じられます。
 ちなみに、私たちのところへ寄せられるご相談のなかには、主治医に対する不満からセカンドオピニオンを望む声はほとんどありません。セカンドオピニオン後も、主治医との関係を損ないたくないと考えている方が大半です。そうした患者さんの心の声をドクターに伝えていくことも、私たち健康コンシェルジュの重要な役割と考えています。

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※当記事はジャミック・ジャーナル2008年6月号より転載されたものです
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