電話での健康相談とは? 患者の声「電話健康相談」特集

※「ジャミックジャーナル」は2011年10月号より「ドクターズキャリア マンスリー」にリニューアルされました。

医者に言えない 患者のホンネ 保険同人社・電話健康相談より

  • 第1回
  • 執行役員 高橋敏子

 保健同人社は、会社を設立以来、健康教育の最小単位は家族であると考え、「医療を大衆に」をテーマに、出版業務を通して各家庭に健康情報を伝える啓発活動を進めてきました。
 その流れの一環として1988年に立ち上げたのが、電話健康相談事業です。従来の活字の枠を超え、電話という新しいツールを利用した健康教育のスタートでした。
 電話健康相談を始めてから、今年でちょうど20年になります。当初、スタッフは看護師のみで、『家庭の医学』を片手に奮闘していましたが、今は保健師、薬剤師、臨床心理士、管理栄養士、助産師など各方面のスペシャリストが加わっています。また、本をめくらなくても、Webのコンテンツを開くだけで、即座に最新の健康情報が得られるシステムも確立されています。
 さらに、専門医のデータベースも充実していて、総勢250人の指導的立場の医師に電話相談をバックアップしていただくとともに、全国24万人の医師情報の提供、さらには50分野・6,000人の専門医への紹介状発行まで、幅広いサービスを行っています。
 現在、およそ500法人500万世帯を対象に、365日24時間体制で対応していますが、年間の相談件数は約15万件、1日あたり600件にのぼ ります。
 これだけインターネットが発達し、マスコミ情報もあふれているなかで、選択肢として電話相談を選ぶ方が大勢いらっしゃる事実は、肉声で専門家が共感的に傾聴し、一緒にアセスメントしながらサポートする重要性を示していると考えられます。

ドクターとのコミュニケーションに問題のある相談者が多い

 電話の相談内容は非常に多岐にわたります。半数以上は症状や病気に関するもので、メンタルヘルスを切り離して分類すると、目立って多いことがわかります(1)。  症状別ではお子さまの発熱がトップで、病気別ではインフルエンザと風邪・感冒がほぼ拮抗して1位、2位となっています(2)。まさしく家庭療法が必要なものばかりです。反面、日本人の死因トップのがんは15位にも入っていません。
 また、相談の動機としては、緊急時が全体の0.7%にすぎないのに対して、約75%は、健康に不安を感じたときに何らかのアドバイスを 受けたい人たちで占められています。
 このうち、およそ半数が受診前の方で、すぐに病院へ行ったほうがいいのか、何科へ行ったらいいのか、受診前にできるセルフケアは何か、ドクターにはどのような話をすればいいのかなど、受診に関するさまざまな心配事を質問してこられます。
 一方、すでに受診している方からの相談も40%近くを占めます。その内容は千差万別ですが、大半の相談者に共通しているのが、ドクターとのコミュニケーションがうまくいっていない点です。何かわからないことがあっても、「こんなこと聞いていいのかしらと迷います」といった声が圧倒的に多いのです。ドクターと対峙すると過度に緊張してしまうのですね。診察室へ入ったとたん頭が真っ白になってどこが痛いのかわからなくなったり、薬の効き目が実感できていないのにドクターには「効いています」と答えてしまったりするケースもしばしばです。
 いずれにしても、受診の際に、自分の症状をしっかり伝えられないと、ドクターの診断に対して不安が生じます。「うまくいえなかった」という後悔した状況でつくられた治療方針には疑問が生じてしまうようです。
 そのため、電話相談では、ドクターの話を聞く力、ドクターに質問できる力のサポートがとても重要となります。私たちの間では「マネジメントリファー」といっていますが、相談者の話をじっくり聞いて、具体的に何がわからないのかを整理し、受診の目的と、何のために、何を聞いたらよいかをアドバイスします。

患者さんとドクターの距離を埋めるのも重要な役目

とはいえ、私たちは、ドクターの領分に立ち入るようなことは決し てしません。あくまで主治医の治療方針を遵守して、相談者がそれを しっかり理解し、自ら治療に参加できるよう支援するのが、電話健康 相談の役割と考えています。
また、家庭看護を行ううえで、医療だけでは解決できない部分が存 在します。たとえば、熱がでたとき、病院へ行って解熱剤をもらって も、すべてが解決するわけではありません。自宅へ戻ったあと、患者 さんはさまざまな疑問に直面します。「食事はどうしたらいいのか」 「お風呂には入っていいのか」といった具合です。診療に追われるド クターにとって、患者さんの生活面までフォローしていくのはなかな か難しいのが実状でしょう。他方、患者さんの側も、先に述べたよう にドクターに対して遠慮する部分があります。そうしたドクターと患 者さんの距離を埋めていくのも、私たちの重要な使命と考えています。 電話健康相談は、自宅で、自分がいつも座り慣れているソファーに 座りながら気軽にご利用いただけます。そのため、ドクターの前では 萎縮しがちな患者さんたちも、相談スタッフには体の不安、心の不安、 医療に関する悩み事を饒舌に語ってくれます。
そこで、弊社の電話健康相談に寄せられた声をもとに、普段、ドク ターの耳には届きにくい「患者さんのホンネ」について、来月からこ のページで具体的に紹介していきたいと思います。

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※当記事はジャミック・ジャーナル2008年4月号より転載されたものです
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