精神科は、精神疾患の診断・治療を担う診療科です。総合失調症、うつ病、認知症など心の病気を扱うことから、患者としっかり向き合うことのできる対話力が必要不可欠な職場です。長期入院の患者が多いことが特徴で、年単位で入院することも珍しくありません。近年では、児童・思春期専門の精神科外来や病棟を持つ医療施設も増えてきています。精神科医は精神保健福祉センターなどの公的機関を含めて幅広い職場の選択肢があり、その選択により年収が大きく左右されがちだといわれます。データをもとに年収事情を見ていきましょう。
20~30代のボリュームゾーンは「1,000万円以上~1,500万円未満」ですが、40代以降は「1,500万円以上~2,000万円未満」の割合が最も大きくなっており、経験を重ねるにつれて年収も上がっていくという標準的な上昇カーブが認められます。ただし、「2,000万円以上」の壁を突破できるのは10%以下という状況です。
「1,500万円以上~2,000万円未満」の割合は関東で58%ですが、中国・四国では67%、九州・沖縄では59%と、地方でも高い水準のエリアがみられます。また、北海道・東北で「2,000万円以上」の割合が30%というのも目を引きます。医師が不足しがちな地方において、精神科医の確保に注力していることの表れなのかもしれません。
「1,500万円以上~2,000万円未満」の割合について、200床未満の病院では41%、200床以上の病院では68%であり、大規模な病院の方が明確に高い年収水準にあります。クリニック・その他は「1,500万円以上~2,000万円未満」の割合が49%、「2,000万円以上」の割合が9%であり、大規模な病院よりやや低い年収水準です。開業医でも精神科クリニックの収益面には苦戦しているのかもしれません。
男性のボリュームゾーンは「1,500万円以上~2,000万円未満」(56%)、女性のボリュームゾーンは「1,000万円以上~1,500万円未満」(58%)となっており、全体的に見ても男性の年収水準は女性のそれと比べて高めです。「2,000万円以上」の割合は男性では9%ですが、女性は0%です。
精神科で働く医師の希望年収は、「1,500万円以上~2,000万円未満」が最も多く(44%)、次いで「1,000万円以上~1,500万円未満」(39%)、「2,000万円以上」(12%)の順となっています。
第1位と第2位の差がほとんどなく、かなり控えめな希望にとどまっているといえるでしょう。そうした希望の水準で考えると、実際に得ている年収との差はあまりなく、おおむね満足している精神科医が多いのかもしれません。ただ、これ以上の年収を望む場合、精神科はある意味で特殊な領域であることから、採りうる方策が限られがちである点には現実問題として注意が必要かもしれません。職場を移すことを視野に入れる場合は、仕事内容や報酬面について入念なリサーチをお勧めします。
※ご相談は無料です
科目によって異なる医師の年収事情について、アンケートを実施し現状を調査しました。