医療法人徳洲会 鹿児島徳洲会病院

課題を明確化し、動き出せば組織は変わる

人口約10万人あたりの病院数が1 5・6 7院という医療激戦区で、一旦は医業収益の低迷に陥った鹿児島徳洲会病院は、新院長・池田佳広氏の着任によって大きく生まれ変わった。
今回は「効率化」という切り口で同氏の経営改革を紹介する。

池田 佳広
鹿児島徳洲会病院 院長
●1999年/札幌医科大学医学部卒業、同附属病院第二内科勤務 ●2000年/旭川赤十字病院循環器内科 ●2002年/函館五稜郭病院循環器内科 ●2003年/帯広協会病院循環器内科 ●2005年/道央病院 ●2006年/北海道立江差病院循環器内科 ●2007年/新日鐵室蘭総合病院(現・製鉄記念室蘭病院) ●2010年/東大宮総合病院(現・彩の国東大宮メディカルセンター)循環器内科 ●2013年/国際医療福祉大学大学院にてh-MBA取得 ●2014年/宇和島徳洲会病院院長 ●2018年/鹿児島徳洲会病院院長就任

池田 佳広氏

改革に唯一必要なことは「覚悟」
トップが動きV字回復を図る

30年以上にわたり地域医療に尽力してきた鹿児島徳洲会病院。近年、同院の医業収益は下降線をたどり、2017年度はグループ71院中62位という順位であった。その状況を打開すべく、院長に就任したのが、h-MBAを有し、グループ最年少の院長として宇和島徳洲会病院の改革で大きな成果をあげた池田佳広氏だ。

同氏は改革に唯一必要なことは「覚悟」だと言う。「講演会等で病院改革を望む方とお話しする機会がありますが、中には〝実行したい。でも…〟で止まってしまう方、他人のせいにする方もいらっしゃいます。自分が今始めるしかないという絶対的な〝覚悟〟が足りない。トップに覚悟が見えれば、周囲は付いてきてくれるもの。これだけは絶対ブレないという芯を一つ作り、逃げずに自分が率先して動くこと、これがトップの仕事です」

池田氏の第一の取り組みは、本誌3月号で紹介した「入院患者数の増加による経営の改善」だ。ケアミックス型病院である同院の立ち位置を俯瞰し、〝やりたいこと〟ではなく〝地域が必要としていること〟を模索。自ら積極的に地域にアプローチし、ミスマッチを解消。短期間で収益をV字回復し、収益を医療に還元する良いスパイラルを生み出したのだ。

そして次に取り組んだことは、院内業務の効率化だ。最初の改革の効果で、あっという間に患者は増加した。当然、それに伴い業務も増大化・煩雑化する。しかし、医師もスタッフもその数は限られている。

そこで、池田氏は役割分担の見直しで無駄を省くことに着手した。同院の人員には余力があると判断。事務職員2名を専任の医師事務として配置転換し、医師の負担を軽減した。また、2人の事務長の役割を、経営・事務職のまとめ役、地域連携・医師担当に明確に分けた。これによって、院内の煩雑な事務、池田氏が重視する地域連携それぞれにマンパワーをかけることができ、地域の病院・医院等への訪問件数が約3割増加した。

「新たな人員補充が難しい場合、タスクシフトやタスクシェアで1人あたりの業務効率を引き上げるしかありません」

また、業務手順の効率化も行なった。同院では多くの事柄が、その都度医師の指示がないとできない状況であったが「それはおかしい」と池田氏。例えばインフルエンザの流行時期に発熱患者が来院したら、スタッフはまず検査のオーダーのために医師を呼ぶ。医師は検査結果が出たら再び患者を診る。これでは二度手間だ。患者対応については、「想定できる事項は予め院長責任で業務フローを作成し、それに沿ってスタッフが業務を進め、医師が最終確認」という決まり事を作った。

不足事項・優先事項を明確化
自ら考え動ける組織を作る

タスクの明確化も図った。例えば検査、在院日数等それぞれに具体的な数値目標を決め、見える化。各部署長が責任を持って達成に向けて管理していく。

「目標達成ができないことに対してスタッフが〝医師が対応してくれない〟と言うことがあります。〝では、あなたは何をしたのか〟と問うと、〝いつも通りちゃんとやっている〟という答えが返ってくる。しかし、グラフで見てもらえば、結果は出ないことが視覚的にわかる。何が足りず何を優先すべきかを自覚していただくことが大事なのです」

新しい物事を導入するのは、どのような職場でも大変なことだ。しかし、忙しいから大変だからと改革を後回しにすると、もっと大変になると池田氏は言う。

「最初は必ず仕事量は増えます。しかし、やらねばならないことが明確になり、動き出せば、そこからは楽になるのです」

そしてトップが上意下達で指示をすると、スタッフは自分で考えなくなるため、現場に任せることも重要だ。

「任せないと人は変わりません。最終的には私がいなくても動く組織を作らねばなりませんので、任せることで各人が自分で考えられるようになるのが理想です。今後はさらに成長を促すため、教育システムも構築していきたいと考えています」

全職員と地域の期待が高まる
2021年の新病院誕生へ向けて

入院患者の増加・効率化の進展により医業収益が向上した結果、同院は念願だった新築移転が叶うこととなった。2021年には市内谷山地区に新たな病院が誕生し、ハード面での効率化も一気に進む。

「当院の建物は築30年以上。時代に合わない部分も多く、また、患者さんも職員も動線はバラバラです。新病院は、これまで私が見てきた多くの病院の改善面を参考にして、できるだけ業務の効率化を図った設計になります」

次第にその姿が明確化してきた新病院に対して、そこで働く全職員と、新築先の地域に住む人々の期待は高まる一方だ。

現在、鹿児島徳洲会病院には、改革によって回り出した収益のスパイラル、整備された良好な医師の労働環境、新たなスタートに向けての熱量が揃っている。これから同院でできる数多くの経験は、自身の将来のための糧となるだろう。この時期に、同院に来て共に新たな病院と新たな地域医療誕生のために力を発揮していただきたい。

設立 1987年4月1日
職員数 396名
許可病床数 310床
診療科目 内科・循環器内科・消化器内科・呼吸器内科・外科・消化器外科・整形外科・形成外科・脳神経外科・泌尿器科・肛門外科・放射線科・リハビリテーション科・麻酔科・精神科・救急科・ペインクリニック内科
センター 透析センター、健康管理センター
所有機器 MRI(1.5T)、CT、循環器用X線透視診断装置
指定病院 DMAT指定医療機関
厚生労働省指定基幹型臨床研修病院
病院機能評価認定施設
学会認定施設 日本プライマリ・ケア連合学会認定施設
日本静脈経腸栄養学会NST稼動施設

数字で見える化し、目標を明確にする

重症度、医療・看護必要度(急性期)

電話訪問件数[4階病棟]

数字をグラフ化し、現在のウィークポイントを明らかにし、全員で共有する。「数字に対しては、言い訳できません」と池田氏。

DATA

  • 医療法人 徳洲会 鹿児島徳洲会病院
正式名称 医療法人 徳洲会 鹿児島徳洲会病院
募集科目 内・消内・外・整外・脳外
給与 年収1,400万円〜2,000万円(税込)※経験・希望を伺った上で決定。※固定残業代は給与に含まない。試用期間なし。
業務内容 外来及び、病棟管理。当直業務
経験 不問
勤務日数 週4〜5.5日
当直 2〜4回/月※当直料別途支給
勤務時間 平日8:30〜17:00、土曜日8:30〜12:30
休日 年間休日110日(月8〜12日)
待遇 社会保険完備、医療費還付制度、学会加入、年会参加費用補助、託児所
勤務地 鹿児島県鹿児島市下荒田3丁目8-1(2021年秋より鹿児島市内谷山地区へ移転予定)
交通 JR鹿児島本線「鹿児島中央駅」から車で約5分
TEL:
099-250-1110
HP:
https://www.kagotoku.jp/