医療法人社団 実風会 新生病院

疾病教育で「病気と付き合う力」をつけ
社会復帰を支援する開かれた精神科病院

50年以上にわたり神戸地域の精神科医療を担ってきた新生病院。2004年には明石駅からほど近い小高い丘陵の上に移転し、「本人が病気と付き合う力」をつけ、早期の社会復帰を目指す取り組みを進めている。

宮軒 將
理事長/新生病院 病院長
◎1992年/川崎医科大学卒業、同付属病院救急部 勤務 ◎1994年/聖路加国際病院救急部 勤務 ◎1999年/川崎医科大学付属病院救急部臨床助手 ◎2001年/神戸大学医学部附属病院 精神科 勤務 ◎2002年/兵庫県立光風病院(現・兵庫県立ひょうごこころの医療センター)勤務 ◎2003年/医療法人実風会佐野サナトリウム(現 新生病院)勤務 ◎2011年/医療法人実風会新生病院 理事長・病院長に就任

宮軒 將氏

病院は患者の「生活の場」ではない
早期の社会復帰へ向けて舵を切る

「病院は治療の場であって“生活の場”ではない。病院の名称も以前の“サナトリウム”から“病院”に変更して、本来病院で行うべき精神科医療を行っていきたい」。それが、宮軒氏が病院長に就任した際に強く望んだことだ。

1961年に六甲山山麓に創立した精神科単科病院の同院では、長らく神戸地域の精神科医療を担い、かつては数十年にわたり入院している方も存在していた。それは同院に限ってのことではなく、当時の多くの精神科病院に共通した“常識”だった。

「以前は病院の中しか知らず、外出した時にエスカレーターの乗りかたがわからない方もいました。他科を経験した私から見れば、それは違うのではないか?と強い違和感を覚えたのです」

宮軒氏は、救急救命センター等で約10年間にわたり救急医療に携わった後、精神科医としての修練を積み、2011年に父が築いた同院を継いだという経歴を持つ。病院長となってからは、「患者さんに“社会復帰の目鼻立ち”をつけたうえで、できる限り早急に社会へ返す」ことを目指す、開かれた病院へと舵を切った。

そのために同院では様々な取組みを行っているが、中でも最も大切なことは、「疾病教育」だと宮軒氏はいう。

「精神疾患は慢性疾患。内科でいえば糖尿病と同じように、人任せだけにしていては良くならず、本人が病気をしっかり理解して取り組まねばなりません。“病気と付き合う力”をつける必要があるのです」

同院では患者の入院と共に教育プログラムを開始。医師だけではなく、看護師、精神保健福祉士等の多職種がチームとして患者を支える。疾病教育の教室で疾患の理解を促進し、服薬・金銭など大事なものの自己管理ができるようサポート。患者用のクリニカルパスを作成し、担当看護師とともに患者自身が症状をチェックし把握する。

精神疾患の方は自己の症状をうまく説明できない人も多いが、こういった過程を経て、自らの状態を言語で表現できるようになる方も多いという。

また、様々な療法を組み合わせ“オーダーメイドの治療”を行うのも同院の特徴だ。患者の状態に合わせて薬物療法、身体療法、カウンセリング等を組み合わせて行っており、高齢のため薬物投与が難しい方、重症で即効性を求められる場合等には、2006年よりm-ECT(修正型電気けいれん療法)も取り入れている。その症例数は導入以降の10年間で延べ2500件に及び、兵庫県内でも施行件数が多い。

同院では統合失調症、気分障害(うつ病、双極性障害)とともに、近年増加の一途をたどる高齢者の認知症疾患の診断・治療にも力点を置く。

「まずは認知症と、一見認知症のように見える別の疾患との鑑別が重要です。そこを見誤ると本来良くなるはずの疾患が見落とされ、ご本人が不幸になります」

認知症治療では高齢者の身体に配慮した適切な投薬等も重要なため、同院の医師は日本認知症学会に属し、日頃から研鑽を積んでいるという。

精神科ならではの喜びのある職場
整った学びの環境で指定医取得も

同院では現在、キャリアを積んだベテラン医師、後期研修医、そして精神科以外で修練を積み、これから精神科医療に携わりたいという医師を募集している。

「どんな科の医師も歓迎します。異なる科の医師が参加してくれることは、患者さんにとって非常に喜ばしいこと。私も救急の現場での経験が、精神科医療で役立つことが多々あります」と宮軒氏。

「以前私が携わっていた救急医療では、患者さんとの接点は極めて短い。急性期治療が終わったらそこで関係はおしまいです。しかし、精神科の場合は一度診た方とは一生の付き合いになることも少なくありません。若い時から診ている方が結婚して出産し、お子さんが小学生になり、子連れで来院することもあります。順調に人生を歩む様子を見るのは本当に嬉しいこと。そういう経験には救急とは異なる喜びがあります」

同院は症例が豊富で、画像検査、心理検査、光トポグラフィー、m-ECT等も導入している。6名の常勤医師の中には日本精神神経学会の専門医、指導医、精神保健指定医がおり、若い医師、転科を希望する医師にとって学びの環境が整っている。卒後臨床研修における協力型臨床研修病院として、指定医の取得も可能だ。

「特に高齢の方に対する投薬等は非常に難しく、教科書通りにはいきません。当院では豊富な経験を通して実学として学んでいただけます」

職場としては、多職種が一堂に会してのカンファレンスや医局での医師同士のコミュニケーションも盛んで、入職したばかりの医師も溶け込みやすいという。

「当院の職員は皆が一生懸命で協力的。そこが良いところですね」と宮軒氏。

病気と付き合う力を身につけ
社会へ復帰できるシステムを構築

「ご本人にとっては退院はゴールではなく、退院してからが本当のスタート」という宮軒氏は、デイケアや訪問看護等も積極的に導入している。今後も退院後のサポートを一層強化していくため、現在二つの取り組みを進めている。

「その一つは院外に多機能クリニックをつくること。退院した方が通院医療を受ける以外にデイケアに参加でき、訪問看護ステーションも有し、地域生活の拠点としたいのです。また、当事者スタッフとして働く職場としたいと考えています」

そしてもう一つは、精神疾患を持って「引きこもり」となっている40~50歳台の人々のケアだ。

「入院というシステムを使って“病気と付き合う力”を身につけ、法人のグループホームで社会との繋がりをつける。そんな社会復帰へのプログラムを進行中です。引きこもっている人々の地域移行のため、これからも様々な仕掛けをつくっていきたいと考えています」

宮軒氏が同院でこのような取り組みを続けるのは、地域で何が必要とされているか、それを汲み取り提供するのが一番の使命と考えるからだという。

「私たちのような地域病院は地域のニーズから目を背けてはいけないと思うからです。これからも地域が求める医療を提供していきたいと思います」

新生病院がある地域は温暖な、一年を通して暮らしやすい気候が特徴。緑豊かな城跡が目前にある明石駅周辺は賑わいがある街であり、少し足をのばせば魚釣りやスキーのできる場所にも近い。

DATA

  • 医療法人社団 実風会 新生病院
    移転前の所在地は神戸市中央区の六甲山麓。阪神・淡路大震災を経験し、病院自体も被害を受けながら地域での精神科医療を継続し、神戸の復興に尽力しててきた。
正式名称 医療法人社団 実風会 新生病院
募集科目
給与 年収1,100万円~(税込)臨床経験10年目で1,255万円・1,300万円(指定医) ※スキル・経験による。
業務内容 外来の対応及び病棟管理(約25人/日)、新規の入院患者対応(約10人/月)等
経験 不問 ※転科の方の経験は問いません。
勤務日数 週4日~
当直 応相談可
勤務時間 平日8:50~17:20、土曜日8:50~17:20
休日 日曜日、祝日、研究日(1日/週)、年末5日、夏期3~4日他
待遇 各種保険完備、当直料別途有り、自動車通勤可
勤務地 兵庫県神戸市西区伊川谷町潤和字横尾238-475
交通 JR山陽本線「明石駅」よりバス約20分「新生病院前」下車
TEL:
078-919-1755
HP:
http://www.jippu.or.jp