千葉県病院局

求められる医療の追求を通し、
県民の生命と健康を守る“最後の砦”となる

千葉県病院局は千葉県民の生命と健康を守ることを使命とし、6つの県立病院を運営している。今回は病院局長の矢島鉄也氏に、医師の働くフィールドと、今後、果たすべき役割について聞いた。

矢島 鉄也
千葉県病院事業管理者(病院局長)
1982年 千葉大学医学部卒業、厚生労働省(旧厚生省)入省、千葉県救急医療センターで臨床研修、2014年から現職 医学博士

矢島 鉄也

高い専門性を発揮し、
県民に頼られる存在に

幕張新都心の航空写真(救急医療センターと精神科医療センターの一体的整備が進められている)

現在、千葉県の人口は620万人超。医師数は増加傾向にあると言えるものの、人口に比しての数はまだまだ足りていないという。その中にあって、千葉県病院局が運営する6つの県立病院は、千葉県民の生命と健康を守る『最後の砦』であると、同局局長の矢島氏は語る。

「県民にとって必要な医療とはどのようなものか。常にそれを念頭に置きながら、6つの県立病院の機能をフルに発揮し、また進化させ、県民のニーズに応えていくことを第一義に、病院運営に取り組んでいます」

その取り組みのひとつとして、千葉県がんセンターの新棟建設プロジェクトが進行している。これは高齢化の進行に伴い、増加し続けるがん患者に対して、さらに高度なレベルでニーズに応えていくことを目的としたものだ。

「県内においても最新のがん治療が受けられる体制をより整備していくため、平成31年度末オープンを目指し、着々と準備が進められています。病床数を増加させるとともに、通院化学療法等各部門の充実を図り、さらに手術室数も増加させ、ロボット手術による高度・先進医療を実施。今後のがん医療の集約化等も踏まえ、本県におけるがん医療の中核施設として、質の高い医療の提供を追求していきます」

さらに幕張にある千葉県救急医療センターと千葉県精神科医療センターの一体的整備も進められているという。

「この整備においては、心身両面における救急体制の確立を目指しています。特に災害時の拠点病院としての機能を重視。先の東日本大震災や熊本地震の際に、従来の救急医療に加えて、『心のサポート』の重要性が認識されました。精神科医療センターではもともと精神科救急に力を入れて来ましたが、一体的整備により、さらなる機能性の向上を図っていく考えです。私たちは『大災害は必ずやってくる』という認識のもと、日々の医療体制の充実を目指すと共に、並行して災害時の医療体制についても常に高い意識で取り組んでいるのです」

このように、全県民の生命と健康を守るという視点から、高い専門性と機能性を追求している千葉県病院局。そこには大きな使命感がうかがえる。

「まずは県民に頼りにされる存在でなければなりません。そのためには確かな専門性が必要でしょう。たとえば千葉県こども病院では、地域の医療機関では対処の難しい疾患に関し、全県の小児医療中核病院として、県内はもちろん幅広いエリアから数多く患者を受け入れています。まさに小児医療の『最後の砦』と言えます」

千葉県がんセンターでは手術支援ロボット(ダ・ビンチ)も導入

がんセンターは平成31年度に新棟をオープンする予定で、準備を着々と進めている。(図は完成予定外観)

新がんセンターエントランスホール(完成予定図)

千葉県精神科医療センターでは救急外来にも対応。早期の治療、社会復帰を目指す

都市の身近に豊かな自然がある
千葉ならではの快適な環境

ネットワークの要となり
地域完結型医療に挑戦する

高い専門性に加え、もうひとつのキーワードは『地域』であると語る矢島氏。

千葉県こども病院は高度で専門的な医療を提供出来るよう、PICU、NICU、GCUが充実している

「これまでの病院完結型医療から、地域全体のネットワークで患者を診ていく地域完結型医療への移行が、国の施策としても進められています。そうした動きへの対応のひとつとして、千葉県北東部に位置する千葉県立佐原病院では、地域包括ケアシステムへの取り組みを進めています。同院は幅広い疾患に対し、高いレベルの医療で応える総合病院として地域の医療を支える存在ですが、一方で地域包括ケア病棟を設置。急性期から慢性期まで、地域の医療機関とも連携しながらスムーズな患者への支援を行っています」

佐原病院ではさらに訪問看護ステーションを設置。自宅や介護施設等への在宅支援を実施している。緊急時の受け入れ体制が整っていることで、地域住民としても安心して在宅医療が受けられる環境づくりに貢献していると言えるだろう。

「佐原病院における地域医療は、千葉県循環器病センターとも連携して行われています。同院は心不全といった急性期循環器疾患に対応し、TAVI(経カテーテル的大動脈弁植え込み術)や、難治性てんかんに対する外科治療といった高度医療部門も立ち上げられていますが、糖尿病代謝部門や人工透析部門も加わり、慢性期に対する機能も充実しています。さらに地域のネットワークの要として、今後のさらなる地域医療の充実に向け、挑戦していきたいと考えています」

千葉県循環器病センターではハイブリッド手術室も備え、最先端のカテーテル治療を提供

多様な地域性を持つ千葉県で
自身が目指す医療の追求を

矢島氏は千葉大学医学部卒業後、厚生労働省(旧厚生省)に入省し、卒後臨床研修を受けるために千葉県救急医療センターに入職、その後厚生労働省に戻り救急医療専門官、精神保健福祉課長、厚生科学課長、技術総括審議官、健康局長を経て、2014年、千葉県病院局局長に就任した。

「学生時代に既に厚生労働省への入省は決まっていたのですが、やはり臨床を見ておきたいと思い、現場の状況が肌で感じられる救急の分野で研修医として働きました。当時は、千葉県救急医療センターは、全国で2番目となる高度救命救急センターの草創期で、県としても拠点はここ1つ。様々な厳しい状況を目の当たりにし、社会に求められる医療システムの、さらなる向上の必要性を感じました」と語る矢島氏。厚生労働省時代に国立災害医療センターの立ち上げを担当するなど、政策医療の分野で『求められる医療システムの実現』に力を発揮してきた。

「医師一人ひとりにとっても、『求められる医療はどのようなものか』を考えることは、非常に大切であると思います。患者のニーズを知り、それに対して自分は何ができるのかを考えれば、医師自身にとって、やりがいを持て、かつ働き易い環境が見つかると思います。千葉県は湾岸エリアの大都市部から、房総の沿岸部、山間部、等々、極めて多様な地域性を有しています。そこで求められている医療も高い専門性を要する急性期医療から、地域の健康を守る総合診療、またじっくりと一人ひとりの患者と向き合う慢性期医療など、多彩なものです。そこにはきっと、様々な医師が力を発揮できる場所があると思います」

現在、千葉県病院局全体では病床数約1200床。医師数約330名、看護師約1350名が所属している。

「さらに医師の負担軽減のため、積極的に医療クラークを導入するなど、職員の充実を図っています。また子育て世代の医師が安心して働けるよう、育児短時間勤務制度の普及、保育環境を始めとした勤務環境の整備、復職支援等に力を入れています。この他にも、働く医師を守り、存分にチャレンジできる環境づくりを様々な角度から進めています。是非とも一緒に、千葉県民の命を守る最後の砦を担う、というやりがいのある仕事に挑戦していただければと思います」

千葉県立佐原病院は特に消化器系がんの診断と治療に強みを持ち、数多くの症例を積み重ねている

千葉県救急医療センターでは災害派遣医療チーム(DMAT)を編成し、災害に備えている

  1. 千葉県がんセンター
    千葉県全域を対象とするがんの診断・治療及び研究の基幹センター。新薬開発やドラッグラグ解消、治療率のさらなる向上を目指す「臨床研究総合センター(4月から「治験臨床研究センター」に改組」や地域と連携し在宅がん患者を支える「心と体総合支援センター」等も設置し、新しいがん医療を推進している
    ■募集科目/麻酔科
    043-264-5431 担当/管理課 君塚
    http://www.pref.chiba.lg.jp/gan/
  2. 千葉県救急医療センター
    千葉県の救急医療体制の中核として機能する専門病院。第3次救急医療施設であり、全国でも数少ない独立型の救命救急センター。また県内唯一の高度救命救急センターとして、広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒などの特殊救急疾患病患者の救命救急医療も行っている
    ■募集科目/麻酔科、集中治療科
    043-279-2211 担当/管理課 田野
    http://www.pref.chiba.lg.jp/kyuukyuu/
  3. 千葉県精神科医療センター
    精神疾患への救急対応から急性期治療、地域ケアまでを一貫したシステムとチーム医療で行う施設。入院した急性期患者は退院まで治療し、退院後の在宅ケアもフォローアップすることを原則にしており、急性期と在宅医療の両立は、全国のモデルともなっている
    ■募集科目/精神科
    043-276-1361 医事管理課 船津
    http://www.pref.chiba.lg.jp/seishin/
  4. 千葉県こども病院
    一般医療機関では対応困難な特殊または専門的な医療を必要とするこどもを対象として、診断・治療、およびそれに付随する相談及び指導を行う専門機関。県内の小児医療の2次・3次医療を担当し、原則として他の医療機関からの紹介予約により診療を行っている
    ■募集科目/放射線診断科、放射線治療科、リハビリテーション科
    043-292-2211 担当/管理課 淀野
    http://www.pref.chiba.lg.jp/kodomo/
  5. 千葉県循環器病センター
    循環器系疾患のセンター病院としての機能と、地域の中核病院としての機能を併せ持つ施設。各種脳疾患に対するガンマナイフ治療、難治性てんかんに対する外科的治療、大動脈弁狭窄症へのカテーテル治療等を実施。さらに社会復帰を目指したリハビリも施行している
    ■募集科目/内科、整形外科、眼科、麻酔科
    0436-88-3111 担当/管理課 梶
    http://www.pref.chiba.lg.jp/junkan/
  6. 千葉県立佐原病院
    県北東部地域における中核的な役割を果たすべく、一般診療のほか救急医療、がん治療等を重点的に行っている施設。マルチスライスCTやMRI等の先進の画像診断装置と、放射線治療装置等の治療機能で充実した医療を提供。在宅医療、訪問看護、地域包括ケア病棟などの新しい取組で地域医療の可能性に挑戦している
    ■募集科目/内科、眼科、小児科、脳外科、産婦人科、麻酔科
    0478-54-1231 担当/管理課 平野
    http://www.pref.chiba.lg.jp/sawara/

DATA

正式名称 千葉県立病院
TEL 043-223-3969
HP http://www.chibakenritsubyouin.jp/ishiboshu/