初めて国際学会で研究発表をする場合、「大勢の聴衆を前にした口頭発表はハードルが高いので、まずはポスター発表からやってみよう」と感じる方が多いようです。しかし日本人の先生方のポスター発表を見ていると、いささか「固すぎる」表現が多いように感じます。そこで先月から引き続き、皆さんのポスター発表に使える、自然で汎用性の高い英語表現をご紹介します。
まずはそれぞれの場面で、皆さんならどのような英語表現を使うか考えてみてください。
いかがですか?では順番にご紹介致しましょう。
「目的」を語ろうとする時、 “The aim of our study was to investigate…” のようにいきなり研究目的を語ってしまうと、その研究の「新奇性」original contribution がわかりにくくなってしまいます。まずは先行研究 previous studies が発見した知見 previous findings を簡潔に述べて、その後で自分たちの研究目的を説明しましょう。この2つの簡潔なセンテンスを並べることで研究の新奇性が明確になります。
「方法」では、その臨床研究が case series( 症例報告)/crosssectional studies( 横断研究)/case-control study( 症例対照研究)/cohort study( コホート研究)/randomized controlled study( 無作為抽出試験)/systematic review(システマティックレビュー)/metaanalysis(メタアナリシス)のいずれになるのかを最初に明確に述べましょう。次に「どのような「患者」 patient にどのような「介入」intervention や「暴露」 exposure があることがどのようなものと「比較」comparison してどのような「評価項目」 outcome において有意差があるか」という研究の疑問を述べます。こうすることで研究方法の概略が明確になります。
「結果」では「その研究で最も重視している評価項目」である primary outcome が「介入群」 intervention (もしくは「暴露群」 exposure)と「比較群」 comparison においてそれぞれ何%現れたのかを「比」ratio、「95%信頼区間」 95% confidence interval、「p値」 p valueを明確にして述べましょう。その上で介入群/暴露群と比較群の間に「有意差」 significant difference があったのかどうかを明確に述べましょう。
「考察」では結果の「解釈」 interpretation と「限界」 limitations を述べます。通常、解釈で述べる内容は複数ありますので、それらをポイントで整理して列挙していきましょう。解釈を述べたのち、最後に研究の限界や今後の展望を述べます。これらも聞いていて混同しないようにはっきりと分けて説明するように心がけてくださいね。